甲賀市水口町新城の日本家屋で作家さんが紡ぎ出す生活雑貨をメインに販売されている「BIRD ORIGIN(バードオリジン)」
店主の御子神 佑子さんにお話を伺ってきました。
やりたい事をやって、いい人生やったなと言いたい
お店を始められたきっかけは何だったんですか?
御子神佑子さん(以下:佑子さん): んー、、いろいろなきっかけがあって、点と点が結びついて、どれもが今に繋がっているのかな、と思いますね。
自分でお店をやりたいなと思ったのは、最初は元々服飾をやっていた姉と一緒に何かができればいいなと思っていたのがきっかけで、10年くらい前から姉がイベントで出店するようになって、その商品撮影をしたり、印刷物作りを手伝ったりというようなことをやっていました。
私自身も27歳の時に会社勤めを辞めて、ずっと好きやった陶器などを扱うパティスリーとカフェも併設しているギャラリーで働き始めてたんですね。
その頃から地元で人が喜んでくれるようなお店が作れたら、という想いはぼんやり持っていたけれど、まさか自分にそんなことできるわけないよなぁ、、と思ってました。
その頃に結婚もして、今は子供にも2人恵まれたんですが、
結婚当初なかなか子供が授からずにすごく悩んでる時期があって、、
でも、私はやりたい事をやれたし、いい人生やったな!って言いたいなと思い直して。
それで旦那さんに相談してみたら、「失敗してもいいやん!」ってすごく応援してくれて、そこから本格的にお店を始めてみようと思えたんです。
それで最初は、姉と一緒にイベントで出店したり、オンラインショップで販売していて、その後、旦那さんの実家に帰って来て、自宅の一角を改装してお店にしました。
自分が心から満足できるものを提供していきたい
バードオリジンにある商品(生活雑貨など)を選んでいる基準はありますか?
佑子さん: 取り扱っている商品は、生活用品や陶器、布もの(お姉さんのNOTHING PASSIVE)、ニット(お母さんのhand made nono)、他にも靴下や絵画、ドライフラワーとか朝宮のお茶、北海道のコーヒー等多岐にわたります。
選んでいる基準は、何より自分がお金を払ってでも買いたい、買って心から満足できるものという点が大きな指針ですね。
本当はもっと流行っているものとかを置くべきなんでしょうけど笑
儲かるから取り扱うとかいう意識は一切なくて、もし一般的に売られているものよりも価格が高かったとしても、実際使ってもらったり、食べてもらったりしたら、さすが!と感動があって、その価格にお客さんが納得してくれるものを提供したいんです。
おかげさまで、今では地道に突き詰めてやられている大好きな作家さん達との出会いにも恵まれて、自分の本当に納得できる物を置かせて頂いています。
日常の中の小さな幸せを味わって欲しい
日々の生活の中でどう使ってもらいたい、どう溶け込んで欲しいと思っていますか?
佑子さん: お好きなように!笑
飾って見てるのが好き、満足な方は見ててもらえればいいし、どんどん使って味を出していってもらうのもいいですね。
特に器に関しては、お店に来られた方に「これめちゃくちゃええなぁ。でも、一枚だけええのあっても他の皿がしょうもない皿やから買ってもなぁ。」とか、「こんなうつわが似合う家に住んでないからなぁ。」ということをよく言われるんですが、私は雑誌の中みたいにカッコよくそろえる必要は全くないと思っています。
たった一ついいなと思ったお茶碗と出会って、それでご飯を食べることの小さな幸せを味わって欲しいし、その1個から始まっていくんだと思います。
作家さんも、素敵に使いこなしてもらえること以上に、自分が作ったものが先入観や理由なく、誰かの心にただただ響いて、暮らしの中に取り入れてもらえることがあれば、そういうのが一番嬉しいのじゃないかなと思っています。
甲賀市でお店(バードオリジン)を運営する良さってありますか?
佑子さん: そうですね、私自身が生まれ育った街というのもあるけど、本当に色々とみんなが助けてくれるし、自営をしている友達も多くて、いつも刺激をもらったり、分かち合ったりできる人がたくさんいてくれるところはいいですよね。
お客さんにも、地元にこういう店ができて嬉しいと言ってもらえる事が私自身嬉しいですし、お世辞かもしれないけど、地元の人に喜んでもらえることができているのなら、とても幸せな事ですね。
穏やかな空気が流れる場所にしたい
今後、どんなお店にしていきたいとお考えなんですか?
佑子さん: <「ここで過ごしてくださる時間が日常の中でのささやかな楽しみとなり、ふと訪れたくなるような、そんな穏やかな空気が流れる場所になっていきますように。」>
これはショップカードに書いている文章なんですが、これを今も目指しています。
誰かの暮らしの中にひっそりと寄り添っているような、そんな存在になったらいいなぁって。
まだまだこれからですが、もうちょっとスペースがあればお茶を飲んでゆっくりしてもらったり、本を読んでもらったりできるような場所を作っていければいいなと思っています。
あとは、ものづくりをしている人から”この人に売ってもらいたい” “この店で売ってもらいたい”と思って頂きたいですし、
お客さんからは、”この人から、この店から買いたい” って、”ここなら安心して、信頼して買える”って思ってもらえる人、店になっていきたいです。
お母さん目線からみて、甲賀市での子育てはしやすいと思いますか?
佑子さん: んー、甲賀市しか知らないから何とも言えないかな笑
やっぱり子育てしやすいところもあれば、しにくいところもありますね。
でも私は地元なので実家も近かったり、同世代のお母さん友達も多いから、色々と助けてくれたり、しんどい想いなんかも分かち合える人が近くにいてくれてるのはいいですね。
子供の年齢にもよるのかもですが、個人的には、例えば天気が悪いときに小学生が遊べるところがあるといいなぁとかは思いますね。
個人店がもっとたくさん増えていって欲しい
甲賀市がどんな街になって欲しい?していきたいですか?
佑子さん: 私の住む水口町(みなくちちょう)でも便利なお店はすごく増えてきて、チェーン店も私も利用させてもらっているけど、やっぱり個人で面白い事をやっている、個人店がもっとたくさん増えてきてくれたらいいなと思います。
小さなお店ひとつが誰かの人生において、とても大切なウエイトを占めていることってあると思うんです。
そういうお店が増えていけばすごく楽しいし、私もそんな存在の一つになれたらなって。
新しいことは増えつつも、これからも甲賀らしい空気はいつまでも感じられたらいいなぁと思いますね。
「自分が満足できるものじゃないと、お客さんにオススメなんてできないです」とも話す佑子さん。
大型チェーン店が立ち並び、どこに行っても代わり映えしない日本の地域(地方)にとって、こういったある種尖った専門店的な個人商店や人が街を作っていくんだと思います。
あまりカッコよく書かれると、来てみたらがっかりされるもん〜と言ってましたが、いやいや、カッコいいお店です笑
自分ができる事から始める。
日々子育てに追われながらも、これからまだまだ作って行きたい場所やお店の空気感について語る姿は、新しい働き方や時間の使い方、やりたい事を実現するにはこんなパターンもあるんじゃないかな?と、一つのスタイルを見せてもらった感覚でした。
撮影・取材/編集 早川慎一
滋賀県甲賀市水口町新城336
Tel.0748-69-5110
open日時はインスタグラムで配信しています。
http://birdorigin.info/